令和元年度採択事業者 インタビュー

2020年6月作成

株式会社グレースイメージング

株式会社グレースイメージング

支援を受けて半年の間に2~3年分の進捗がありました

株式会社グレースイメージング
代表取締役 CEO 中島 大輔

手厚いサポート体制

――AMDAPの集中支援を受けた感想を教えてください。

手厚いサポート体制 中島さん

中島医療機器開発のプロ中のプロの方がカタライザーとして担当してくれました。文句のつけどころがない、本当に充分なサポートをいただきました。

私たちがターゲットにする医療機器の開発は、大企業でおこなわれています。私たちが開発を進めるうえでお会いしたい人材、課題解決の鍵を握る人材は大企業の関係者であることが多く、私たちのようなスタートアップが求めても、そうした人材にはなかなかコンタクトできません。それがAMDAPのカタライザーの方の経験と人脈で、すっと会うことができ、とても驚きました。

当社にはQMS(品質マネジメントシステム)体制構築、法規制対応、資金調達、海外展開など、クリアしなければならない問題が山積みです。このような状況で行き詰まりを感じたときに、私たちが申し出る前にAMDAPの事務局の方が先回りして「こういった方がいるので、一度相談してみたらどうでしょう」と、専門家との橋渡しをしてくれます。

私は慶應義塾大学医学部整形外科学教室で10年以上医師として勤務し、当社も慶應義塾大学医学部発のベンチャーです。医療機器開発を進めるうえで非常に有利な条件にあると思います。大学内で医療機器開発の専門家に相談することも比較的容易にできます。しかし、私たちの事業に深くコミットし、事業化を加速させる「真の意味で有効なアクション」につながる支援はなかなか得られません。このことは、アカデミアは研究組織であって開発組織ではありませんので、構造上仕方のないことだと思います。

一方、AMDAPの支援は、私たちが希望するレベルまで深くコミットしていただけていますし、ご支援いただける専門家の範囲も広く、まさに「真の意味で有効なアクション」につながると感じています。

またAMDAPの特徴として、毎週、カタライザーの方および事務局の方とのミーティングをし、細やかに連絡を取り合い、常日頃から私たちと並走してくださっていますので、こちらから困っていることを言わなくても、それまでの文脈で先回りして解決法を提案くださいます。しかもその分野ではトップクラスの専門家の方、最適な方をアテンドしていただけます。

――具体的にはどのような定期ミーティングをされているのですか。

中島毎週水曜の朝8時から30分間のミーティングを、当社3人とカタライザー、事務局の5人で開催しています。開催方法は、直接対面することもありますが、最近はWebミーティングツールを使いリモートでおこなっています。大変アナログな手法ですし、毎回重要な話題があるわけでもありません。一見無駄と思えるようなたわいもない話をすることもあります。しかし、このように週1回、短時間でも定例のミーティングをもつことが、当社とAMDAPの方々とが分離することなく一体となるチームビルディングのために大変よい効果を生みだします。

ミーティングを重ねることで、当社メンバーだけではなかなか気づかない弱点や問題点もいい意味でAMDAP側に伝わり、それに対する「かゆいところに手が届く」支援がおこなわれるという効果を生みます。その結果、回を重ねる度にどんどん質のいいミーティングになっていきます。いわゆる短期集中型の支援プログラムの中にはチームビルドできていない状態で短期的な結果を求めるものもありますが、AMDAPは、最初はチームビルディングをじっくりおこない、互いの現状、できること、できないことを以心伝心のレベルまで共有することが特徴だと思います。

驚くべきスピード感

――事業の進捗状況をお教えください。

中島現在、私たちの事業は、PDMA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の相談、実証実験を実施する段階まできました。特許戦略や海外戦略も進んでいますし、来年には治験の実施も視野に入っています。AMDAPの支援を受けて、進捗のスピードがあがりました。

このスピード感は予想以上のもので、AMDAPの支援を受けて半年ですが、この半年で2~3年分の進捗があったという感覚です。

AMDAPの人的支援は大きなファクターです。カタライザーの方や事務局の方とのミーティングを重ねることでチームのまとまりがよくなり、取り組みのスピードが速くなります。

たとえば、私たちの機器が保険収載されるかどうかはきわめて重要なのですが、社内メンバーだけで検討していたときには、「行ける」、「行けない」という意見で堂々巡りになり、なかなか組織としての意思統一を進められていませんでした。このように、まさに社内メンバーの思考がちりぢりになっていたタイミングでAMDAPから保険収載に明るい専門家の紹介を受けることができました。そして、専門家からの客観性ある確かな知見をベースに、スピーディに意思統一することができました。

 「社内メンバーの定性的な意見」ではなく、「専門家の客観的な知見」をベースにロジックを組み立てられますので、社内メンバーの合意形成が早くなり、スムーズに進むわけです。

AMDAPの支援を活かす土壌として、当社メンバーそれぞれが高いモチベーションと集中力をもって取り組んでいるということが前提として必要になると思います。

資金の面でも利点は多い

――外部の方々との関係は変化しましたか。

資金の面でも利点は多い 中島さん

中島AMDAPに採択されたことで周囲の見る目が変わったと感じました。AMDAPは人的支援に加え、助成金による開発支援を受けられる可能性がありますが、助成金の採択がどうなるかわからなくても、AMDAPに採択されたという実績で、VC(ベンチャーキャピタル)さんは有望な企業とみていただけます。2019年には他の機関の支援事業に採択されましたが、その支援だけだったとしたら開発はここまで進んでいなかったと思います。

――今後の事業の可能性について教えてください。

中島ヒトの身体の中で産み出される乳酸の値で「どのくらい疲労しているか」などがわかります。現在は血液を採取し、血中の濃度を測っていますが、私たちは血液からではなく、汗から測るためのデバイスを開発しています。いちいち採血をすることなくリアルタイムに乳酸の値を計測することを目指しています。

現在、まずはビジネスを成功させることを重視し、「心血管疾患」にフォーカスしてデバイス開発をしています。これが完成すれば、乳酸を常にモニターしながら心臓に負担をかけずにリハビリをおこなえるようになります。

一方、このデバイスにはヒトの代謝を連続的にとらえる「バイオセンサ」という側面もあります。ヒトの体内活動を定義づけるパラメータについては、古くは医師の‘脈をとる’行為から始まり、近代医学に入って脈拍、体温、血圧、呼吸数というバイタルデータが加わりました。以後、心電図波形や経皮的酸素飽和度(SpO2)など多くのモニタリング手法やレントゲン、CT、MRIなどのイメージング手法が生まれ、そのたびに人類の生体活動のとらえ方が大きく変わってきました。私たちは、このデバイスの開発について、単なる乳酸測定器を開発するというだけではなく、生体センシング技術の歴史に世界で初めて汗のデータを加える、という意味があると考えています。臨床家としての期待はもちろんのこと、人類の知識を増やすという意味でも大変意義深いと考えています。

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